監督 大根仁著「モテ記」 感想2011/10/02 14:20

 すでに多くの方が読んで、感想をアップしている。
 文句なくおもしろかった。映画や舞台を観た後にその台本・戯曲を読むのが好き。あぁ~、ここはあの役者さんはこういう風に言っていたなぁとか、あぁ、あんな演出してたなぁとか思い出しながら読むのがすき・・・。
 これを読むと、大根さんがいかにテレビ版を引きずっていたかが分かる。私的には、映画はまったく別物で、テレビの女子を引きずってほしくなかったので良かった。

 台本を読んでいて気づいたのだけれど、宣伝で使われている写真でカットされているところがぽちぽち散見される。クランクアップから公開までの日がなかったせいらしい。
 まず、るみ子とのデートがそっくりカット。二人カラオケもずいぶん編集したのか、宣伝に使ったショットがどこだったか記憶にない。そして、台本を読んでいて強烈に思い出したのは、意外とるみ子がからんでいる場面だった。幸世に「あのっ」って言われて、みゆきとるみ子の二人が振り返るシーン、るみ子が墨さんに「正確だったでしょ」と聞かれて「そうですね」と微妙な表情で答えるところ、そして、るみ子が牛丼を食べて吹っ切れた顔をするところ。麻生さん、いい役者さんなんだなと思った。それから、幸世がみゆきにフラれるシーン、その1、幸世がぬれて部屋に入ったとき「あのぅ、何か拭くもの・・・」っていうのが森山くんのアドリブらしいということが分かった。その2、幸世がみゆきに「オレの事すきだった?」と聞かれみゆきが頷き、幸世が彼女に「ありがと」と言うところがカットされていた気がする。そして「幸世君じゃ成長できない。」というみゆきの台詞に変わっていた。自分の記憶に自信ないけど。でも、あの変更があったからフェスでの二人の追いかけっこが活きる気がした。特に幸世の心情に共感できた。「ありがと」って言っちゃったら、再びみゆきを追いかけられない気がした。

 この本、大根さん書くの大変だったと思います。出演した役者さんもネタバレみたいに記載される事に抵抗もあるかもしれない。でも、ものを作り上げる情熱や、それにかかわる人の一生懸命さが伝わって、本当にいい本だった。何回か読み返したいです。この本、書いてくれた監督、そして出版してくれた扶桑社に感謝です!

本「セイジ」 感想2011/10/02 15:11

 2012年公開の「セイジ」に森山くんが出ているという事で、原作を読みました。
 文体は特筆すべきことはなし。内容は・・・、文章だけなら避けたい内容でした。女の子はセイジの行為に救われるんですが、読むだけだとスプラッタシーンが頭に浮かんで、女の子が救われる心情の変化についていけない。一体どんな映像になっているんだろう。っていうか、公開日がずれたのって、モテキとかぶりそうだったからではないだろうか。クランクアップはこちらの映画のほうが早かったはずだし。

 森山くんは、一体どんな「僕」を作り上げたんだろう。私が小説を読む限り、傍観者であり、「僕」の心情はあまり書かれていない。ただ、目の前に起こった事を報告することに終始しているように読めた。ただ、友人から自転車を無理やり預けられて、それでフラッと旅に出てしまえる人間であり、女の子が幼稚園の先生の卵になった事を知り彼女に会いに行ける人という以外、鍵となる描写がなかった気がする。