舞台「ウィズ」 感想2012/10/21 17:00

東京国際フォーラムC 2階12列20番

 初めての劇場だったけれど、案内表示が分かりやすくとても良い劇場だった。
 1階は割と段差少なめに見えた。2階は良く見えたけど遠かったなぁ。お客さんは、AKBの子が出ている割には男の人が少なく見えた。サロメのときより少なかったかも。その代わり、小学校低学年くらいの子供など、低年齢層の子が割といた。
 舞台は、子供も観れるミュージカルが脚本だから仕様がないのだけれど、いまいち主だったキャストが子供っぽさを無理に出しているようで・・・。AKBの子が歌う最後の曲は、TVでも放送していたし歌っているときの白いオーラは凄かったけど、どうにも響いてこなかった。その点、森公美子さんは圧巻だった。いやぁ~、あの歌を聴きに行ったようなものでした。黄色と黒の人の踊りも、Noismとか見ていると驚きもしないっていうか・・・。芸能の世界って大変だなと思ってしまいました。
 帰りの人ごみからは「すっごい良かった!!!」という声も聞こえてきていたので、多分大方に人には良かったのだろう。
 舞台美術は、おとぎの国のようにカラフルで乙女チックな鏡がでてきたりでとても良かった。

舞台「ウィズ」稽古風景2012/09/12 19:04








カーテンコール


結構、踊るんだなぁ。楽しみ。

舞台「サロメ」 感想2012/06/16 13:00

新国立劇場 中劇場 15列29番

 戯曲は、図書館で借りて読んでみたが、いったいこれのどこが人を惹きつけるのかさっぱり分からなかった。ただの、オドロオドロしただけのお話にしか感じられなかった。

 舞台は、前9列を潰し、舞台との間にお濠のようなスペースを作り、舞台の下を牢屋にしていた。下には少し水が張ってあり役者がそこを歩くたび水音がした。客席側の目の前にも50cm程の土手を作り、お濠からそこへ上がる階段が作ってあった。舞台側との行き来にはプールのような梯子が舞台上手に据えてあった。
 ヨカナーンは、基本お堀の牢屋。お濠にいる時の台詞は、マイクでエコーを効かせ、居所を強調していた。
 舞台の上部には、斜めに大きな鏡が据えてあり、まるで人間の有様を俯瞰する視点をもたせているようだった。
 舞台と影絵を映し出すスクリーン、シンプルな家具があるのみ。

 いやぁ~、最初から最後まで息をもつかせぬ展開。あのサロメなら、最後のあのセリフが腑に落ちる。生娘が恋する男の生首を所望する。阿部貞を連想させた。
 多部ちゃん、分別臭い地声、あどけない猫なで声、そして威嚇し怒鳴り散らす声。とにかく声の表情の変化が素晴らしいかった。声もよく通っていた。
 戯曲にあったのは、それ以外にも宗教、人種、身分階級など様々なものが書かれていた。舞台に現されたモノを観て、初めて分かった。
 青白い月の光、最後の血の色、素晴らしかった。宮本さんの演出、平野さんの戯曲、キャスト、その他全てにおいて本当にすごかった。

 上演時間は、1時間40分。あっという間だった。客層は、私が今まで経験した中で、一番男の人が多かった。男女比率は半々かむしろ男の人が多かったかもしれない。

◆稽古場レポート 「おけぴネット」
◆多部未華子インタビュー 「朝日新聞どらく」
◆麻実れいインタビュー 「朝日新聞アスパラクラブ」
舞台写真

舞台「金閣寺」 in NY 記事その22011/07/24 01:46

Rating New York 参照

最新情報宮本亜門、ニューヨークで「金閣寺」を語る


(掲載日時 2011年07月24日 01時46分)
 宮本亜門演出の「金閣寺(The Temple of The Golden Pavilion)」が、リンカーンセンター・フェスティバルで上演されている(7/21-7/24)。本作品は、海外でも知られる三島由紀夫の原作を舞台化したものだが、日本では神奈川芸術劇場のこけら落としで公演されている。

 一方、リンカーンセンター・フェスティバルは、世界中から演劇やダンスなど最高のパフォーミングアーツだけを集めて毎年夏に開催される、ニューヨークを代表する芸術祭である。亜門氏は2002年にも「太平洋序曲」で招待されたことがある。こちらは後にブロードウェイ公演(2004-05)となり、トニー賞の4部門にノミネートされた。
 亜門氏としては、「金閣寺」で久々のニューヨーク公演となるが、会場となるローズホールで3人の主演男優(森田剛、高岡蒼甫、大東俊介)と共に記者会見に応じた。

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 (スティーブン・)ソンドハイム作曲の「太平洋序曲」は、アメリカ人が日本という舞台設定で作った作品だったのですが、今度は(日本人である三島由紀夫の原作ということで)今までになかった「緊張」がありますね。歌舞伎、能という古典芸能のオブラートを被せない実験的なやり方で、三島の作品をこのキャストで上演することで、「現代の日本人」というものを見せたいんです。そしてニューヨークのアバンギャルドな人達に、ぜひフェスティバルで見て欲しい。今までの作品とは違う反応があると思っています。ニューヨークのブロードウェイ・スタイルとはまったく違う作品を、あえてこのキャストとスタッフでやりたかった。
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 本作では、主演3人の他に中越典子、高橋長英、岡本麗、瑳川哲朗などのトップ俳優の他、大駱駝艦、山川冬樹など個性的なパフォーマーが独特の亜門ワールドを繰り広げる。
では、亜門氏が見せたい「現代の日本人」とは何だろう。

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 海外に来ると、ニューヨークもそうだけど、皆さん日本の事をとてもよく知っているし、日本好きの人は沢山いらっしゃる。だけど、日本の文化や精神…日本人の“もがき”とか、そういうところはなかなか分かって貰えていないんですよね。それがいつも海外で仕事をしていて、フラストレーションが溜まるところ。三島由紀夫が「金閣寺」で描く青年の悩み、生き方…日本的な生きることについての想いとか、そういう「気持ちの奥」みたいなものをちゃんと伝えたいですね。それは同じ人間なんだから絶対伝わると思っています。
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 原作の「金閣寺」は1950年に実際に起こった「金閣寺放火事件」を題材にしている。戦中戦後を舞台にしたこの作品のどこが「現代の日本人」を理解させることに繋がるのだろうか?

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 今日本は、あの地震があって大きく変わり始めているのか、それとも変わらないのか。大きなパラダイムシフトに差しかかっている時期だと思っています。「金閣寺」の時代背景は戦中から戦後にかけてですが、京都が爆撃でやられるかもしれないという時に、主人公の溝口は「これが最後や、金閣燃えるんや」と。溝口は金閣寺が燃えることで自分が再生できると思ったんですね。僕はそこがたった今の日本と重なっているような気がしているんです。
今の若い人達も、もちろん僕もそう感じているけれど、「今の日本じゃない新たな日本に生まれ変わるのか?」、また「自分自身も新しく生まれ変われるのか?」、 原発も含めて大きな時代の変わり目に来ている(と感じているのではないかと)。それと溝口の悩みとか、彼がギリギリまで追い込まれていることとが重なっているような気がするんですよね。
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今まさに苦難と変化の渦中にある日本人の心が、三島由紀夫と宮本亜門という2人の日本人により伝えられることだろう。亜門氏はこう締めくくった。

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作品のテーマは「生きる」ということ。「それでも生きるのか」「どうやって生きるのか」というのが深いところにあるんです。今この時期にこの作品をニューヨークという街でやることで、世界中から集まった色々な方に見せられることが嬉しいです。

舞台「金閣寺」 in NY 記事その12011/07/23 06:00

スポニチ 参照

V6森田剛 「金閣寺」米NY公演で絶賛「ブラボー」

 「V6」の森田剛(32)の主演舞台「金閣寺」が21日(日本時間22日)、米ニューヨークのリンカーンセンターで上演された。

 前売り券のほか、字幕が見えない見切れ席も完売する盛況ぶりで、終演後のカーテンコールでは「ブラボー」の声が響きわたった。頭を丸刈りにして役に挑んだ森田は「日本で練り上げてきた成果を一番いい形で見せられた。現地の演劇通の方や原作の三島由紀夫ファンの方が多く、緊張しましたが“ブラボー”と言ってもらえてうれしかった」と興奮気味に語った。リンカーンセンター・フェスティバルへの参加作品として、計4回上演される。

記事記載日[ 2011年7月23日 06:00 ]

舞台「金閣寺」 感想2011/07/22 20:00

22日 J-4、23日 N-111 と2日間連続で観劇。
劇場:Rose Theater in NY

 宮本さん演出の舞台、初めて観ました。例えて言うなら、宮本さんは音の人でした。蜷川さんは色の人かな。演出家次第で舞台はこうも異なるのかと思った。
 最高でした。三島さんの小説は通読した上で観劇しました。見終わった後で、日本人は「日本語、難しい~」、米国人は「ミステリアス」と言っていた。23日に隣に座った日本人夫婦、森田君のことを「剛ちゃん」と言っていた。身内だったのかな。「大東くんはモデルで背も高い。剛ちゃんは小さいからね。」と言っていた。
 23日観劇後、外でインタビューに応じている人がいた。評論家さんだったのかな。以下ネタバレ。

 舞台は教室風の壁面に5箇所(たぶん)の扉、中央付近に大きな黒板。テーブルと椅子が複数出ている。わりと現実的な美術。蜷川さんの抽象的な美術との差を感じた。
 8時開演の15分前、劇場が明るいうちから舞台に役者さんが出てきて観客席を見たり、役者さん同士で会話をしていたりしている。8時、まだお客さんが案内されているうちに時間とともに森田君が走り出てきて劇は始まった。
 原作の小説を俳優さんが交互に朗読するところからスタート。学校の先輩の刀、有為子に「ええ加減にしいや!」と怒られるシーン、有為子が殺されるところ、父が死に鹿苑寺の世話になり鶴川と出会うところ、柏木と出会うところ、最後の金閣寺炎上までを一気に駆け抜けた感じでした。森田君出ずっぱり。
 原作にとても忠実だったので、読んでおいてよかったと思った。一緒に行った友人は前情報を入れないタイプだったが、観劇後に「難しすぎてよくわからなかった。小説くらい読んでおけば良かった。」と言っていた。
 テーブルの使い方、ダンスを見るようなお寺の日常、宮本亜門ここにありって感じでした。舞台にいい意味でリズムが生まれていました。鬱屈とした溝口が出ずっぱりのため、観ている自分の身体は前傾姿勢になり、肩に力が入り、観終わった後の呆然とする感じはすごかった。俳優さんはみんな文句なしに良かった。22日より23日のほうが観客がリラックスしていた。金閣寺の映像とともにおりんの”チン”という音、あそこで笑いも起こっていたしね。
 ちなみに「ブラボー」の歓声があがったのは22日。両日ともにスタンディングオベーションで拍手を送る人は少数だった。観劇後は、余韻に浸りながら歩いてホテルに帰りました。

 大東俊介君がイケパラで小栗君の弟役をしていた人だと後で友人から聞きました。両日ともに花束を渡すファンの子がいたのはこの人のみ。人気あるらしい。確かにかっこ良かったもんね。でも、森田君がすごかった。IZOのときと同じ土佐弁、父母と訛り方が違っていて笑ったけど。ずっと鬱屈した役が続いているので、今度は違う人格を演じて新しい一面を見せてほしいです。
 アンコールで走り出てきた森田君はすでに溝口ではなかった。姿勢からして違っていたし。凱旋公演、見たいなぁ。どうしよう・・・。

舞台「金閣寺」 in NY 直前インタビュー記事2011/07/21 20:00

演劇キック 参照

 今年1月の神奈川芸術劇場のこけら落し公演で、三島由紀夫の世界を斬新に表現したと評判が高かった舞台『金閣寺』が、7月21日から24日までニューヨーク公演を行なうことになった。

その渡米直前の会見が都内の稽古場で行なわれた。


 この『金閣寺』は、今年の1月から神奈川芸術劇場ほかで初演され、吃音の青年僧侶の鬱屈した金閣への憧れを、奥行きと身体感覚に満ちた世界で表現。主演の森田剛をはじめとする出演者の演技も高く評価された作品である。

 その結果、厳しい選考で知られる「リンカーンセンター・フェスティバル」での上演が決まり。「リンカーンセンター・フェスティバル 2011」に正式参加することになった。


 ニューヨークへの出発を数日後に控えた7月14日、演出家の宮本亜門、主演の森田剛、共演の高岡蒼甫、 大東俊介、中越典子、高橋長英、岡本麗、花王おさむ、山川冬樹、瑳川哲朗ほか出演者が一同に集まり、舞台ニューヨーク公演直前の気持ち、抱負などを語った。


 宮本「いよいよ1週間前になりました。ニューヨークのリンカーン・フェスでは、海外で初めてミュージカルの『太平洋序曲』を上演させてもらいました。それ以来、何かやればという主催側からの誘いはあったのですが、中村座さんや蜷川幸雄さんなども行かれて、僕は何をしたらいいんだと考えていたとき、この「金閣寺が浮かんだんですが、作品を見なければ呼ばないという状況がありまして、この神奈川芸術劇場での公演をスタッフが観に来てくれたことによって、今回の上演につながりました。ニューヨークには日本文学を愛して詳しく知っている方が多いというのは、あちらのジャパンソサエティで話しをさせていただいて感じたことです。鋭く厳しい目で観てくれるのではないかと、ドキドキワクワクしているところです。みんな緊張するのやめようね(笑)。とにかく今回のフェスはピーター・ブルックやRSCがくるので、相手にとっては不足ないので(笑)。このスタッフ、キャストで行けて本当に嬉しいです」

森田「緊張はすると思います。でも本当に貴重な経験だと思いますし、このチームで日本を回ったという強い気持ちがあるので、その気持ちを持って行ってきたいと思います。楽しんできたいと思います」

高岡「フェスということで、アメリカの目の肥えたお客さんたちを日本に連れて来るチャンスだと思うので、どれだけすごいか、こういう時期ですけど、日本人ってすげえんだぞというのを見せてきたい思ってます。あとはニューヨーク・ヤンキース・スタジアムで、ハンバーガーを食べたいなと(笑)。あとは緊張と不安を取り除いて、思いきって芝居を見せて来られたと思ってます」

大東「僕にとってすごく大事な作品で、作品自体の持ってる人間のエネルギーというか、舞台上でのエネルギーがすさまじいなと思ってるので、ぜひ海外の人にも観てもらいたいと思うし、日本の持ってるエネルギーを、ぜひ伝えたいと思ってます。あとは、金閣寺スニーカーを作ったんですけど、こういう場所で履こうねと、僕と森田さんと蒼甫さんと三人おそろで履こうと言っていたんですけど、今日、森田さんに伝えるの忘れてて、僕と蒼甫さんだけめちゃ浮いてるなと(笑)。ニューヨークでは三人でおそろで履こうと思ってます」

中越「とにかくニューヨークという土地を、舞台で踏ませていただくなんて思ってなかったし、これまでそんな現実があると思ってなくて、本当に光栄なことだと思っています。神奈川での公演をさらにバージョンアップして、三島世界、亜門さんの世界をリンカーンセンターの舞台で表現できることの喜びをかみしめてきたいと思います。さっきまで緊張してなかったのに、今、緊張してきました。この緊張をいいパワーに変えてがんばりたいです」

高橋「去年12月、その前からちょっと稽古してて、共演者スタッフの方々とああだこうだ言いながら作り上げて来た作品が海外に行けるというのがすごく嬉しいです。たぶんあちらでもすごく喜んでもらえると、そういう作品になってるんじゃないかと思っています」

岡本「私はメインランドに渡るのが初めてで、それが芝居の公演だというので、がんばらなくちゃと思います。このお芝居が大好きで、本番が始まって、森田くんをはじめ高岡くん大東くんたちがどんどん進化していくんです。それを本番中に袖で観ているのが楽しくで飽きなかったです。それと亜門さんの演出もなんですが、大駱駝艦のかたたち、山川さんたちが鳥肌が立つほどすごくて、これはニューヨークで絶対に喜ばれるぞと思ってます。厳しい目を持っているところですけど、やってやるぞと思ってます。自分に言い聞かせてます。私は溝口のいたらない母なんですけど、演技はいたらなくならないようにと思ってがんばります」

花王「森田剛くんをいじめる役でファンのかたに申し訳けないんですけど、ニューヨークではもっといじめたいと思ってます(笑)」

山川「僕も森田さんをいじめる役です。これは30何回公演したんですけど、毎回ある場所にある時間に必ず戻っていくような感覚があって、ですから今回もニューヨークに行くという感覚ではなくて、ニューヨークから金閣寺に人が来るというような感覚なんです。そんな気持ちでやりたいと思います」

瑳川「これまで文学と演劇はそんなに遠くなくて、近いものだと思っていたのですが、この『金閣寺』はその距離がどんどん離れて行く感覚を味わっております。文学の演劇化ということは大賛成なのですが、そのイマジネーションの表現に悩んで来たのがこの作品でした。そして森田くんたち青年三人が軽々と私が悩んでいるようなことを越えてしまう。あの時代と現代の距離を軽々と越えてしまう。その彼らの演技に劣等感を感じて、もっとしゃんとしろと言い聞かせておりました。今度のニューヨーク公演では三島通の方々も多いという事で何らかの飛躍をして、私の演じる金閣寺の道詮和尚というもののリアリティが作れれば、私にとっていい場所になると思います」

この公演は凱旋公演として1月27日~2月12日に赤坂ACTシアター、1月19日~22日に梅田芸術劇場メインホールで公演を予定している。