まつもと歌舞伎「天日坊」 感想2012/07/13 18:00

まつもと市民芸術館 23列19番

 急遽思い立ち、チケットを取りました。
 センターブロックだったので、舞台全体を観るのにとても良い席でした。
 開演の時間を17:00と勘違いし、当初21:30までしか開いていない駐車場に車を置いた。16:30を過ぎても会場に人を案内しないところで、チケットを再度見ると、何と18:00開演!上演時間は3時間超え、アンコールの拍手なぞしていようものなら、車が出せなくなる!慌てて車を別の駐車場に入れました。ホッ。

 舞台は、スピード感のある台詞がすごかった。
 普通のように話す勘九郎さんに対し、七之助さんはあくまでも歌舞伎調。それ以外の方々も、歌舞伎調とそうでないものの取り混ぜで、とても面白かったです。3時間を超える大作、役者さんたちはさぞや体力のいったことと思いました。
 黙阿弥調の七五のセリフを随所に配し、歌舞伎らしい決めのシーンもちゃんとありました。
 色彩豊かな舞台装置と衣装など。役者さんも、ギターもドラムもトランペットも附け打ちも、全て生き生きとしていて、とっても楽しかったです。 
 空気がキラキラしていました。
 昔の歌舞伎って、こんな感じだったのではないかと思いました。型は型なりに、良いところもあるのですが、私はもう少しスピード感がある方が好き。コクーン歌舞伎はとても面白かったです。
 パンフを読む限り、宮藤さんも串田さんだけでなく、出演した俳優さんたちも、どこまでハメを外すかのラインを決めるのにとても苦慮された様子が伺えました。

歌舞伎「平成中村座 十二月」2011/12/23 11:00

 平成中村座 20列 9番

 正直、こんなに悪い席は久しぶり。役者が板に座ってしまうと、前の人の頭で殆ど見えなかった。特に会員になっている訳ではないので、仕様がないのかもしれない。
 菊之助さん、勘太郎さん、七之助さん、良かったです。菊之助さんは、最初声の出が悪かったけれど、段々喉が温まってきたのか、後半は心配無用でした。役者さんの着物を着たときの動き、物の扱い方などはいつ見ても参考になります。あと、謡が今回めちゃくちゃ良かった。特に寺子屋。

 初めての中村座でした。まず、もぎりを通過するとお弁当等の販売店とブロマイドの申し込み受付。ブランケットも500円で販売していた。
 中に入ると、靴を脱ぐのでビニール袋をいただく。お手洗いは入り口左側、数をH22の1.5倍に増やしたとのこと。仮設でしたが、まったく問題ありませんでした。クロークはなし。入り口中央と2階席への階段が左右にあり、劇本は入り口右手、階段下にありました。
 中央階段を上がると劇場、「松」は座椅子席、「竹、梅、桜」は椅子席。「竹」は3列ごとに段差をつけ、さらに椅子も3列目に行くにしたがって少し高く調整していました。しかし、見えなかった。椅子は鉄枠にスポンジや座布団、背もたれにも布団をつけていました。劇場は寒いとのつぶやきがあったので、完全防備で行ったので、寒さについては特に感じませんでした。
 一番印象に残ったのは、スタッフの心配りと働き。素晴らしかった。あの仕事ぶりが見れたのは、仕事をする人間として勉強になりました。

舞台「開幕驚奇復讐譚」 感想2011/10/22 20:35

国立劇場 大劇場 6列20番

 開幕驚奇復讐譚、観てきました。
 最高の席でした。花道で役者さんが見得を切るすぐ近く。舞台脇の下座音楽、上手の唄や三味線もよく聞こえ、そしてなにより、場が始まるときに焚かれるお香の良く届くこと。
 いのうえ歌舞伎を観たとき、元になっている歌舞伎(髑髏城の元という意味ではありません)ってどんなだったっけって思っていたんです。以前歌舞伎を見たときの記憶は殆どない。役者さんが誰だったかも記憶にない。ただ、荒事と芝居もののダイジェストの組み合わせだったことしか覚えていない。しかし、前に蜷川さんの舞台に出ていた役者さんのインタビュー本で、尾上菊之助さんの真摯な考え方を読み、演劇本でその立ち姿の美しさに胸をドキュ~ンと撃たれたので、この演目を選んでみました。
 それに、以前舞台「たいこどんどん」を古田さん目当てで観たとき、橋之助さんの立ち姿やしぐさの美しさが印象に強かったから。もしかしたら、観た演目が自分の好みでなかったがために、素敵な世界を見落としているのなら悔しいと思ったんです。

 全体的には歌舞伎の好きな部分と嫌いな部分が分かってよかった。

《好きなところ》
1.下座音楽。今回舞台後半で、菊之助さんが立ち回りをするんですが、そこでの音楽がメチャメチャ格好良かった。それ以外でも、音楽の入り方が生なのですごい贅沢感があった。いい音でした。
2.ツケ。やっぱり、生の音はいいです。
3.場が始まったときのお香の香り。場を清めるという日本古来の考えが残っているのが分かってうれしかった。これは2階席、いや、1階席でも舞台下座側から離れれば分からないことだと思った。

《嫌いなところ》
1.台詞のテンポがゆっくり。ときどきタルく感じた。ほんの少し早口にしたほうが、舞台全体に活気が出ると思うんですが・・・。
2.殺陣がチャラい。あれじゃあ、殺陣を見せるっていう感じは皆無。せっかく日舞をやって、腰を落として動くことができる身体を持った役者さんばかりなのにもったいない。様式美を重視して、血湧き肉踊る興奮を捨て去っている気がする。

 役者さんでは、まず時蔵さん!いやぁ~、あの変わり身の早いキャラ、笑えました。最初、夫に諫言するほどしっかりした奥方だったのに・・・。ほんっと、良かったです。ヘタをすると、人物造形失敗しそうな役だったのにすごいです。次に、尾上松緑さんが良かった。もともと面相が目の大きな方で、役にぴったり。しかも、声のとおりが良かった。あと、中村梅枝さんの若侍がすっきりしていて良かったです。
 菊之助さんは、小夜二郎のときが良かったですね。やっぱり、振る舞いの綺麗な役者さんでした。
 両宙吊りが話題になっていましたが、私的にはどうでもいい部分でした。
 正直、開演に間に合うかどうかドキドキだった。だって、駅に着いたら新幹線動いていなかったから。車輌故障で、50分は待った。結果は20分前くらいに劇場に到着できたので、メデタシ×2でした。舞台全体としては、観に行って良かったです。

 これを観た後、ワカドクロが無性に観たくなった。あの迸る若者の情熱とゆらぎ。歌舞伎にはないな。いのうえ歌舞伎ならでは、いや、あのキャストならではだったのかもしれない。中島かずき・電人Nでも、しみじみ書いてますもんね。後になって、じわじわとボディーブローのように効いてくる舞台です。まだ、サントラ聴いてます。