舞台「ボクの四谷怪談」 前情報2012/08/15 20:28

シアターガイド

 9月17日(月・祝)に、Bunkamuraシアターコクーンで幕を開ける、騒音歌舞伎(ロックミュージカル)『ボクの四谷怪談』。この上演に先立って、演出の蜷川幸雄、音楽の鈴木慶一、佐藤隆太をはじめとするキャスト・スタッフ一同が、舞台の安全と成功を祈願して『四谷怪談』ゆかりの寺社へ参拝した。

 鶴屋南北が、当時実在した女性“お岩さん”の名前を借りて、当時起きた事件を盛り込みながら、虚実ないまぜの物語に仕立てた『四谷怪談』。その上演の際には、ゆかりの地に参拝するのが慣例だ。一行は、東京・豊島区西巣鴨の妙行寺にて、お岩様の墓参りをした後、「お岩稲荷」と称されている、新宿区左門町の田宮神社と陽運寺にも参拝し、おはらいも受けた。

 『ボクの四谷怪談』は、作家・橋本治が、文壇デビュー前に書いた幻の戯曲。南北版をベースとした青春群像劇で、70年代風ファッションに身を包んだ若者たちが、生きる目的を探しあぐね、迷い、焦り、右往左往する姿を描く。

 これまでにも、舞台や映画で『四谷怪談』を手掛けている蜷川だが、「『ハムレット』のように何度やってもやり残した感覚がある」と語る。71年には、急進的な政治運動から転落していく若者を、01年には、バブルが弾ける中で転落する若者を主人公たちに重ねてきた。「明確な敵も見えず、ふわふわとした中に明るい地獄絵がある」と今を捉える蜷川が、本作でどんな現代を描き出すのかに注目が集まる。そして、「『四谷怪談』を軽やかに解体した、橋本さんの戯曲と巡り会ったのも何かの因縁。それこそ歌舞伎じゃないけれど、“さまよう名刀”が手に入ったような気分です(笑)。今までとは違うものを、新しい人たちと一緒に、自由に奔放に作っていきたい」と意気込みを見せた。

 台本には曲調や使用楽曲などの事細かな指定があり、70年代色が強く意識されているという。その音楽を手掛けるのは「ムーンライダーズ」の鈴木慶一だ。鈴木は「橋本さんの言葉のリズムがいいので、すごくやりやすかったですよ。世代も近く、聴いていた音楽も共通しているはず。橋本さんの頭に響いていたであろう音楽を想像しながら作りました」と創作過程を明かした。また、「アレンジには、ロックの“隠しアイテム”がたくさん入っています」「“ウッドストック世代”のみならず、音楽好きなら思わずニヤリとするようなスパイスが効いています」「全体的に『四谷怪談』のイメージには一切とらわれず、“まったくのロックです!”」と、作品について語った。

文楽「其礼成心中」 記事2012/08/15 20:38

PARCO劇場でやっている「其礼成心中」の写真がすごく良い。

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